2016/09/16

志村ふくみ「母衣への回帰」展




















志村ふくみさんの展示「母衣への回帰」が
世田谷美術館で9/10~開催中です。

2015年に文化勲章をいただいた方なので、
きっとご存知の方も多いかと思います。

今日、母と観て来たのですが、
見応えがあって本当に素晴らしかったです。

 *

わたしが1番驚いたのは、

初めて作品として作ったものと書かれていた
藍のお着物。

力強く、気迫のある作品で、
一際目を引かれました。

洗練された美しさを支える礎には、

こんなに気の籠った、
荒々しい程につよい作品があったなんて!

と思いました。

 *

「若い頃にしか作れない作品がある」

「晩年になっても
若い頃のように作れるというのはすごい才能なのよ」

みたいなことを母が言っていて、
ピカソをまず頭に思い浮かべました。

「あなたが最近、

若い頃をもう1度やり直しているみたいだと感じるなら、
それはパワーがあるということかも知れないよ?」と励まされ、

だとしたらわたしは、
ひとつひとつの結果を悩まずに、

ひたすら作る時期なのかも知れないと思いました。

 *

社会人になりたての頃、

上司とのそりが合わず、
意味の分からないことで詰められてしまい、

相手がおかしいと思い切れなかった自分は、
自己基準を殆ど手放して、

心療内科行きになったことがあります。

相手からしたらそれが正しいことは理解出来ても、

自分の中にある正しさを
大切にすることが出来なくなった時期でした。

それは結構長く続き、

「あなたは真っ直ぐ過ぎて折れちゃいそうだ」と
医師から言われるような有様で、

常に大きな不安を抱えるように
なってしまっていたなあ…と思います。

今、それを取り戻すかのように、
自己基準を立て直している時期なのです。

 *

だとしたら、
何だか訳が判らないのは当然のことで、

手探りするように、
手を動かして作ってみたらいいように思ったのです。

そういう時期のわたしが、
今居るからです。

 *

志村ふくみさんの人生はわたしから観ると
ものすごい激動で、

その彼女があそこまでして作り続けた上での
表現があの美しい織物達だとしたら。

足元にも及ばないわたしは、
作ったものひとつひとつに悩むのを止めて、

まずは作るべきじゃないだろうかと自分に思います。

安心して、作っていいように思えてくるのです。




















 *

命の限りはいつなのか。
明日かも知れないし、今日かも知れない。

それは誰にも判らないことのように思います。

だとしたら。

今の自分に素直になって。
今出来ることを精一杯やるのがいいように思えます。

 *

選んでいるストーンもここしらばくは
ジャスパーです。

頭で理解出来るような領域とは違います。

体験して、体得して行くような世界観。

尚更今のわたしは、
訳も判らずで、当然のように思います。

もっと、もっと、
素直に作ろうと思えた展示でした。

 *

素敵な展示だったので、
お近くの方はぜひどうぞ。

素敵な週末をお過ごしください。


ストーン・テラー / アクセサリー作家
みたけさやか

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