2015/04/24

蜷川実花さんの、Self-image展。




















蜷川実花さんの展示を観て来ました。

「裏・蜷川実花」という
帯のついた写真集も売っていたけれど、

原美術館全体が、

彼女もこうやって
バランスを保っているのだな…

というのを
体感出来る空間になっていて、

生々しく、毒々しく、重々しく。

かつ繊細で
生乾きの傷跡から痛みを感じるような展示でした。

 *

わたしは元々、
比較的表と裏を分けずに居ます。

だからアップダウンが激しく見えると思うのですが、

おそらく「作るということ」全般は、
「暗闇の中に在る虹を知っていること」から生まれるので、

アートにまつわる作り手にとってそれは、

「心の深み」と「現実」の行き来は
比較的当り前のことであり、

特筆することでもないように思います。

それでも、普段
光のあたる虹の世界を陽気に歩いている人達に、

実はね…といきなり
暗闇の虹を観せられる衝撃というのはありますね。

ああ、そうだ。
これだ。

これがレインボーオブシディアンの世界だよね。
という感じがありました。

 *

その虹がなかったら
きっと、

表の虹は崩壊するだろうなと感じるような、

夢のような美しさの背後に在る、

生々しい
生きざまのようなもの。

表舞台に上がるものが
キリストの十字架やマリア像ならば、

そこに同時にある
生死への希求みたいなものは、

血の香りが漂う生肉や、ピンで刺された昆虫。

そういう感じを受けました。

 *

ああ、この人はこういう人だったのだ。

という全体像を
かいま見せてもらったような安堵がありました。

 *

面識は在りませんが、

彼女は学年で言うと
多摩美のひとつ下の後輩にあたります。

展示を観ながら、

「この人も美大生だったんだな…」
と思いました。

それは、
単なる事実なのだけれど、

「裏側を明らかに出来る心のつよさを持っている」

という
感想としての言葉だったな思います。


ストーン・コンシェルジュ / 作家 みたけさやか

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