2014/05/29
評価の曖昧さ
先だって家出をして、
ザ・リッツ・カールトン大阪に
3連泊させていただきました。
家出の主な原因は、
入院騒ぎが発端でした。
*
ショックがあったことと、
自尊心が再び壊れたことの
2つが重なってしまい、
そこへ最悪の状況が上乗せされて、
心が壊れました。
*
それはまあ…状況的には、
元々の主治医の予測範囲ではあったのですが、
実際に起ってみて初めて
「あ、なるほど。こういうことね!」と
判る類いのものでした。
*
先日ちょっと書いたように、
今のお医者さんからは
「投薬か入院かの二者択一」を迫られ、
わたしの病気には投薬再開の場合、
摂取量を上げる決まりがあるため、
あんなものをもっと飲んだら死んでしまう!
冗談じゃない!と思って、
第三の選択肢を自ら提示して、
強引に家に戻りました。
更には第四の選択肢を見出だし
お医者さんがすぐ入院と言う位には
相当参っていたのですが、
移動をして、
そのままホテル暮らしに入ったのでした。
空港では車椅子で運んでいただきましたし、
飛行機の中では
横にならせていただきました。
*
当初、いわゆる
高級ホテルを選んでいたのは、
「24時間体制のケアが受けられる
病院以外の場所」
ということがあってのことでした。
わたしには入院ではなく
ホテルステイで大正解でした。
何故なら、
「自尊心」を回復させていただいたから、
なのです。
*
わたしはいつも通りに正直に素直に、
そのままの自分の感性で
全てをやりとりをしていました。
夜中震えが走ったら、
遠慮なくフロントへ電話をかけて
人に来てもらいましたし、
必要なものがあれば
持って来ていただきました。
いいなと思うことがあればお話ししましたし、
変更して欲しいことはオーダーしました。
それは入院中も同じです。
言葉遣いも同じです。
*
だけど、
入院中とは全く違ったのは。
彼らは、
それをとても喜んでくださった、
ということでした。
*
グルメショップの畑さんは、
今年から正社員になった女性で、
まだ20代です。
彼女はわたしの話を
優しく聴いてくださって、
香りがいいので、と
グルメショップにある
ハーブティをプレゼントしてくださいました。
他の日には、
お気持ちが安らぐかなと思ってと、
ピアノ曲他、
優しい音色のクラシックを
いくつかセレクトしてお持ちくださいました。
入浴剤にお手紙も2通いただきました。
*
野原さんは、
夜中に不安感に襲われたわたしに
呼び出された際に、
一緒にいらっしゃった男性スタッフさんが
後ろに控えてくださっている中、
片膝をついて近くまで来てくださって、
話を聴いてくださって、
そして、お腹がぐーと鳴っていたのでした。
でもこれ、
わたしは本当にありがたいと思ったのです。
*
何故って、病院ではこれは
緊張感のある事態として受け取られることなので、
間違ってもお腹は鳴ったりしません。
そんなにリラックスして、
寄り添ってくださる方は居なかったからです。
*
ザ・リッツ・カールトンさんのお話は、
中小企業向けの
経営の勉強会ではよく伺っていました。
クレド運用の優秀さで
知名度があるのです。
それにしてもどうして、
このホテルは
みなさんはそうなんだろう?
ちゃんと全ての人がそのクレドに沿って
言動が出来るのだろう?
と本当に不思議に思ったのです。
本が読みたくなったのですが、
関連書籍は山のように出ています。
その旨をスタッフの
近藤さんにお話ししたところ、
上司の方とご自身とで
2冊をおススメいただきました。
*
インターネットで購入して、
届け先をホテルにしてもいいですか?
という内容を質問したつもりが、
その日外出から帰ると、
お部屋にその2冊が置かれていました。
もちろんお支払いはこちらでしましたが、
その手間は全てサービスなのです。
*
いわゆる
「病状の悪化した時期」だったのに、
ここでしていただいた
扱いは病院の間逆でした。
しかもみなさん出来ることがあることを
喜んでくださるのです。
それを通して、
わたしは、
失っていた「自尊心」を取り戻したのです。
*
入院よりも
何倍も短時間で安価に、
回復期に入ったのは言うまでもありません。
*
更に、
大変丁寧なお礼状までいただきました。
文面には、
きちんと書いたことへのレスポンスが記されており、
そうか、これが
一流ということなんだなあと。
それを垣間みさせていただけたんだなあと、
本当にありがたく思ったのでした。
*
リッツ大阪から、
リッツ東京へ移動したのですが、
お部屋は大阪からの申し送りで、
優遇していただきました。
東京では帰りに迷子を懸念するわたしに対して、
ベルの方がバッグを持って
駅改札まで付き添ってくださいました。
心身の限界値だったので、
重たい鞄をひとつ持っていただけたことが
どれだけありがたかったか。
他にもいくつかあります。
どれも常識を振りかざす方には
理解を超えている内容だろうと思います。
*
考えていたのです。
この事実からはもう逃げようがない。
ここから逃げる手段があるとしたら
嘘をつくか、
死ぬかだと。
嘘をついたら、
多分真っ直ぐな線は引けなくなります。
それは心が死んでしまうことと同じです。
ものが作れなくなったら、
それもまた死です。
じゃあ、命をどうにかするの?
と。
そんな時にNura が亡くなりました。
具体的に書く時期は
もっとずっと先の話だと思うので、
ここには記しませんが、
これには心底
考えさせられました。
*
わたしは
病名もあるし、
酷い目にも大分遭っているし、
年齢はいっているし、
仕事以外は殆ど役に立たないのも
大方事実です。
女性に求められる
一般的・社会的スペックは壊滅状態です(涙)。
でも、それは
どうしようもないことだなあと。
今から変えようもないですし、
なかったことにも出来ない。
あったことはあったことでしかなくて、
それ以上でもそれ以下でもない。
*
でも。
わたしは今、
同じ状況においても、
そのわたしを、
こんな風に扱ってくださる方々が居る。
それもまた事実なのです。
*
だから大丈夫だとは、
残念ながらわたしは思えません。
希望も正直持ち続けるのは難しいです。
素敵なことが起こっている時は、
一瞬引き出しの奥へとしまい込むことは出来ますが、
しんどい時は、
しまっていても、気になります。
でも、信じたい。
*
でも。
もう変えられないことをどれだけ悩んでも、
どれだけ状況を恨んでみても
自分が辛いだけで、
何もいいことはないのだって知っています。
わたしは眉間に皺を寄せたい訳じゃないし、
出来るだけ笑っていたいのです。
そうなれることを、信じたい。
*
夢の中に身を投じるには、
既に現実を知り過ぎているように思います。
シンプルに削ぎ落とされた世界の中では、
ファンタジーは選択肢のひとつでしかなく、
自覚的な行為です。
他の価値観に逃げ込むには、
抽象レベルの上げ下げが自在過ぎて、
共通している本質が
観え過ぎてしまいます。
広義に、
壊れることか命を失うこと意外では
もはや「逃げられない」というのは、
危うさでもあるのです。
*
「またお帰りの際は」
と言ってくださる場所が、
この世界にあるということは、
本当にありがたいことだと思います。
それがわたしにとって
ザ・リッツ・カールトン大阪であることは、
本当に幸運なことのように思えています。
わたしがずっと大切にして来たものを、
そのまま素で言動したことを、
大切にしてくださる、
理解してくださる場所が、
超のつく一流ホテルなら。
それはひとつの評価となりうる筈です。
あんなに素晴らしい事業体は、
きっとわたしの命が消えるまで残っている筈です。
残っていて欲しいです。
*
あの時、わたしは本当に
歯を食いしばって
歩きました。
歯が欠けるかと思いました。
心臓が痛くて、
力も入らなくて、
何でここまでして、歩かされるんだろう?
不思議に思いながら、
でも最後まで歩きました。
あれが限界でした。
*
今度は心を立ち上げる番かも知れません。
自分を可哀相な人にするのは嫌です。
だから。
信じたい。
立ち上がりたいです。
そう思います。
ストーン・コンシェルジュ & アクセサリー作家 みたけさやか
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