2014/08/20

最初の一枚を大切にし続けた彼女




















竹越夏子という、

お友達というには距離があり、
知人というには素っ気なさ過ぎるなと感じる、

微妙な距離の人が居ます。

 *

その、なっちゃんの絵を観て来ました。

今回の彼女の個展は、


1980年代に彼女の描いたものから、
今年の新作までが


ひとつのギャラリーに
ぴちっと収まっているものでした。

 *

ああ、これはいい。

と感じたその一枚は、

なっちゃんが
描き始めた頃のものだったと知って、

わたしは結構衝撃を受けました。

 *

わたしは、

高校生の頃に描いた自分の絵は、

誰にも見せずに、
耐えられずに割ってしまったので。

 *

なっちゃんのことを尊敬するよ、
と思いました。

「その頃の自分」も
ちゃんと大切にして来たんだね、

と思ったからです。

そういうつよさを尊敬します。


 *

わたしには、こういう
自分を愛する力が弱いと思います。

自分の作品が素敵に観えたことは
ハッキリ言って殆ど皆無です。

「この中でどれが1番気に入ってるの?」と聴かれて

「全部いいと思ってるけれど、これ」と
朗らかに言える人を観ると、

すごいなあ…と思います。

 *

誰かと比べて
卑下するような感覚でもないと言うか、

ただ、心の深いところで。

変なモノを作っているのではないかな?
ダメなんじゃないかな?と思うのです。

先だっても、

わたしにとっては

ものすごく素直に作れた、
最高の出来映えのものが出来たのですが、

それに気がついて、
素敵だと言ってくれた人は2名。

自分の中のすごくいいものと、

世間とギャップは
つきものではあるのだけど、

確かに、
アクセサリーとしては色彩も弱いのだけど。

それが、とても自分らしい
最高のモノなだけに、

またダメだったなという。

そういう落胆の方が大きく残る訳です。

 *

もちろんやり続けているので、

ウケるもの、
というのも段々判ってきます。

作り手の多くの人が通る
悩むところであるのも知っているし、

実際に悩むところです。

わたしは

売物を作りたいのか?
自己表現がしたいのか?

ということでもあります。

 *

もちろん、良くするために
ギリギリまでやり込みますし、

何日も何日も置いて、
考え続けたり。

それでも。

誰かの作品の、

自分には生むことの難しい、
他者の美しい感性が愛おしいです。

 *

なんて違うんだろう!
ということへの感動は、

自分の内側から出てくるものよりも
何倍も素敵に観えてしまうのです。

 *

なっちゃんの絵は。
あまにりも、なっちゃんでした。

結構、本気で衝撃でした。


ストーン・コンシェルジュ & 作家 みたけさやか

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