2015/01/15

得意なことを知っていればいい




















年末には、
ポストカード展に参加させていただいて、

すごく楽しい出会いが
いっぱいありました。

その時に、

わたしが始めてカメラを
本気で構えた時の話を

させていただく機会があったのです。

 *

撮ったのは、

接写レンズでモノに
ギリギリまで寄っていくような写真でした。

折り紙の表面や、
段ボールの切り口を巻いたもの、

人が「え?これ何?」と
首を傾げるようなものばかりで(笑)。

ちょっとした「謎なぞ・ブック」のような
写真集を制作したのです。

 *

わたしは元々、

顕微鏡写真で観る
化学物質の結晶が好きだったり、

ミニマムなものに対する美を
すごく感じやすい人ではあったと思います

自分のベーシックにある
指向性みたいなことを思うと、

基本的には、
ギリギリまで寄っていくという感じです。

 *

グラフィックデザインも、

0.1ミリ以下の違和感を
修正していくような意識があると

完成度があがるみたいなことは当然あって。

そこまで誰も観てないから!
と言われても、

一流の人はそこを観てるんだよ〜!
と、思っていました。

わたしは今でも納得のゆく
綺麗な文字組は作れないのですが、

綺麗なものが判る位には目が出来ていたため、

それが手元で生み出せなくても、
妥協が難しいみたいなことはありました。

 *

基本的には非常に
近視眼的なものの観え方をしているし、

そこに興味が
ずっとあったなあと思います。

 *

ところがこれ、
我家ではあまり評価対象にならなくて。

何故なら。

父が大きいもの、
迫力のあるものを好んでいたからなんですね。

言ったらきっと否定されると思いますが、

「そんなチマチマしたもの!」
みたいな扱いに、

若い頃はよくなっていました(笑)。

 *

2年位前。
経営の勉強を始めた頃のある日。

いつも行く駅への道を通りながら、

自分がすごく近視眼的な写真ばかりを
撮っていることに

気がついたことがあります。

「近景」と呼ぶのですが。

大ざっぱに言うと、
手元のものを撮ることばかり。

 *

当然アクセサリーも、
小さいものに入ります。

近景の撮影ですよね!

 *

「わたしは、中景や遠景を撮っていない!」
と気がついて。

じゃあ撮ろうと思っても

「感動が出来なかった」ので、
撮れもしなかったのです。

 *

0.25ミリの
宝石のルースを探すにしても、

何百粒の中から、
これ!というものを探します。

それもめちゃくちゃ
近視眼的なことです。

 *

お仕事で描かせていただいた
イラストも

原画は全て小さいです。

本当に小さいものは1センチくらいで。

2度目の個展で巨大な垂れ幕ポスターを
作っていただいた時も、

その元になっている原画は、
2.5センチ× 4センチ程度の線画でした。

それをコンピューターで加工して
サイズアップしていました。

 *

木を観て森を観ず。

という言葉があって、

朝、茂木健一さんが
Twitterでツイートなさっていたのですが。

それで言うなら、
わたしは木も観えていない(笑)。

「わー、すごく綺麗!」とか言って、

葉っぱの葉脈を観たり、
表皮のガサガサした感触や、

この薄さ!とか
色のムラの感じ!とか、

そっちへ行っちゃう訳です(笑)。

 *

大嫌いだったデッサンに
突破口が開けたのも、

細密描写がキッカケでした。

「スプーン」を描いたのですが、

よくよく触ると、
そのスプーンの丸みは左右不対称だったりして、

その微妙な歪みをきちんと描くことや、

スプーンに作り込む蛍光灯1本や、
自分自身の影までも、

硬い鉛筆の先を尖らせて、
仔細に書込んでいくようなデッサンなのです。

細密描写は面白くて、

菊の花の花びらを一枚一枚
全て描くようなことも楽しかったです。

石膏モデルみたいな中景、遠景的なものは、
本当にダメでしたね(笑)。

サモトラケのニケを描いた時に、
美術予備校の校長先生から、

「なんだこのスルメみたいなニケは!」
と言われた位下手でした。

 *

心のこともそうです。

本当のことを知りたいと思った時に、

わたしは外側の評価が
幼少恐ろしい位に二極化したので、

ここで「本当のこと」を見つけるのは
困難だなと判断しています。

心の中は自分にとって
常に本当のことだから、

自分の感覚を観ていこう、と

これまた
近視眼的に興味関心が育っています(笑)。

ここは近視眼的に寄り切った時に、
心の普遍性へと繋がったので、

ミニマムを理解することは
マックスを理解することに通じると言う

そういう言葉の裏側は
体験として理解出来るようになりました。

 *

話を少し戻すと。

経営はどう考えても、

緻密過ぎず大らかにやった方が
いいよなあと思ったりします(笑)。

当然、
近視眼的な…そういう
細やかな感性を持っていながら

素敵な経営をしているお友達は沢山居ますし、

それって逃げ口上!と言われたら
本当にそうです(笑)。

苦手だからこその
経営の勉強会参加だったし、

中景や遠景を撮れるようになりたい!
という欲望の発生だったと思います。

 *

わたしは手許にある緻密さの中に
美を見つけてきた人生だったので、

本来は中景、遠景は
そんなに向いていないんじゃないか?

とは思いつつ(笑)。

それでも、
見方を変えていくと。

少しずつ、観えてくるんですよね…。

そしてそこにある美しさに
感動が伴ってくる。

それは世界に対する再認知でした。

 *

そして、
そこが観えてくると。

小さいものへの愛情が
もっとビビットになりました。

いい意味で、
比較対象を得られたからだと思います。

 *

木のくぼみや葉は観えるけれど、
木全体は大き過ぎて観えない。

森なんか大き過ぎて観えない。

そういう自分が居て(笑)。

でもだから、
アクセサリーが始まった時に

「天職」と
周囲が言ってくれたのかも知れないな…

ということを思ったのでした。

そう。

わたしは
基本的に、小さいものが好き!

なのです。

 *

何がいいとか悪いとかでは、
ないような気がします。

自分は
何を得意としているのか?

それを知っていれば
いいだけのように思うのでした。



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